沙嶋カタナ『吾輩は猫であるが犬』:猫や犬と人間の絆を描く短編集
2024年1月23日
今回紹介する1巻完結のマンガは、沙嶋カタナ先生の『吾輩は猫であるが犬』です。
- 猫や犬と人間の絆を描くちょっと不思議で心が温まる珠玉の短編集
- 読切作品を全6話収録
- 収録されている作品は同じ世界観となっており、少しずつ話が繋がっている
- 『吾輩は猫であるが犬』を読むならこちら
概要
『吾輩は猫であるが犬』は、猫や犬と人間の絆を描く、ちょっと不思議で心が温まる珠玉の短編集です。
そして、表題作の「吾輩は猫であるが犬」を含む読切作品を全6話収録しています。
さらに、収録されている作品は同じ世界観となっており、少しずつ話が繋がっています。
また、収録されているのは以下のようです。
吾輩は猫であるが犬 | 初出はLINEマンガ(2020年3月27日)。 『ハルJam2020』にも掲載。 表題作。 |
#うちの猫が妹ファーストすぎる | 初出はめちゃコミック(2022年6月20日)。 「吾輩は猫であるが犬」のその後の話。 |
吾輩は教授であるが…カモ? | 初出はLINEマンガ(2022年4月1日)。 登場する学生(髪染めている方)は「吾輩は猫であるが犬」のお兄ちゃん。 |
夏のある日 | 初出はめちゃコミック(2022年5月9日)。 「吾輩は猫であるが犬」の過去の話。 |
吾輩はゲーム実況者であり猫チャンネルにあらず | 初出はめちゃコミック(2022年6月6日)。 動画配信者のグランチャは「うちの猫が妹ファーストすぎる」でお兄ちゃんの動画を拡散した人。 |
吾輩は猫であるが君は犬 | 初出はめちゃコミック(2022年6月27日)。 「吾輩は猫であるが犬」から1年後の話。 |
あらすじと感想(少しネタバレあり)
吾輩は猫であるが犬
あらすじ
次生まれ変わるなら、誰にも媚びず、気ままに暮らせる、猫になりたいと願った犬の私は、猫になっていた。
その後、水路の水に落ちて死にかけていたところを人間の少女の美希ちゃんに救われた。
そして、私は、美希ちゃんに一生懸命尽くして最高の猫になろうと思ったのだが、彼女はなんと犬派だった。
彼女のそばにいることを諦めたくない私は、立派な犬になることを決意する。
感想
主人公の猫は、犬だった前世でも、猫になった現世でも家族に捨てられた過去を持っています。
そんな主人公が最終的に幸せになったのが良かったです。
また、前世が犬なため、犬のような行動ができ、その様子が可愛かったです。
そして、忠犬っぽいという理由で「忠」と名付けられたのも良かったです。
#うちの猫が妹ファーストすぎる
あらすじ
猫の忠は、美希の兄の腕の中で眠っていた。
そして、兄は、忠をかわいがっていた。
しかし、美希が帰ってくると、忠は兄の腹を思いっきり蹴って、彼女のもとへ駆け出した。
感想
「吾輩は猫であるが犬」とは違い、悲しい要素は一切ないです。
そして、美希の家で飼われてからの忠の様子が描写されており、幸せそうなのが伝わってくるのが良かったです。
また、美希が相手の時の忠とお兄ちゃんが相手の時の忠の違いも良かったです。
吾輩は教授であるが…カモ?
あらすじ
大学教授の鴨生は、神も迷信も信じていない。
しかし、彼には、印税が入ると猫を拾うというジンクスがある。
今回もまた、猫を拾うことになってしまった。
感想
鴨生教授がの人の良さが伝わる話だと思いました。
そして、良い人だからこそ、猫の神さまは鴨生教授を選んだのではないかと思います。
ただし、鴨生教授に良いことが起こらず、結果的にカモられているだけなのが、少し残念でした。
夏のある日
あらすじ
抜けるような蒼天の夏日の夜明け前に両親が結婚前から飼っていた犬のジンが死んだ。
そして、美希の悲しみはすさまじく、干からびてしまうんじゃないかというほどに泣いていた。
感想
収録されている作品のなかで、1番悲しい話だと思います。
なぜなら、この話単体では、救いとなるシーンが無いからです。
また、お兄ちゃんは、美希のように泣くことも悲しみを見せることもありませんでしたが、ジンへの気持ちを自覚して悲しみ泣いたシーンが1番心に残りました。
吾輩はゲーム実況者であり猫チャンネルにあらず
あらすじ
動画配信者のグランチャは、ゲームの生配信と動画投稿を行っており、大好きなゲーム実況で食っていきたと本気で思っている。
しかし、その思いとは裏腹に、画面に映る飼い猫の「ばあちゃん」にばかり人気が集まってしまう。
感想
飼い猫のばあちゃんがとても賢いです。
おそらく、収録されている作品の動物のなかで、1番賢いと思います。
また、22時にゲームをやめさせるばあちゃんがかわいいです。
画面に映るばあちゃんに人気が集まるのもうなずけます。
吾輩は猫であるが君は犬
あらすじ
猫の忠が美希に拾われてから1年が経過したある日、美希が学校から帰って来たので、忠は彼女のもとへ駆け出した。
しかし、美希は家に犬を連れて帰っていた。
そして、以前、美希が犬派だと言っていたことを思い出した忠は、パニックになる。
感想
家族に捨てられた犬のワンコ(仮名)と病気が原因で長く塞ぎ込んでいた相川のおばちゃんが出会うことによって、最終的に幸せに暮らすようになったのが良かったです。
また、忠がワンコの相手をしたり、幸せを願ったりするので、飼い主の美希に似て優しいと思いました。
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